■■■ 腎盂腎炎治療薬服薬指導 【疾患名】MP 腎盂腎炎(MD Pyelonephritis) 【有病率】MP 記載なし 【好発層】 HI 単純性腎盂腎炎:若い女性に多く,50歳以下の男性にはまれ   複雑性腎盂腎炎:記載なし 【予後】 HI 単純性腎盂腎炎:合併症がない場合,治療により寛解   複雑性腎盂腎炎:閉塞性の病変の進行を防ぐことによって,病気の進行を防ぐこと が可能.高血圧の合併症は不良 【概要と成因】 MP @細菌による腎盂粘膜および腎の間質の急性および慢性の炎症(感染症) HI A病原菌は一般に,腸由来のグラム陰性桿菌 【分類と症状】 HI <分類>   T.単純性急性腎盂腎炎:原因または誘因がはっきりせず,かつその発症および臨 床経過が急性であるもの   U.複雑性腎盂腎炎:尿流の停滞,逆流,結石などの局所因子や全身性因子(糖尿      病,痛風,免疫不全など)によって急性腎盂腎炎を興すもの      基礎疾患       1) 尿流停滞(+)       2) 尿流停滞(−)        前立腺肥大症          糖尿病        神経因性膀胱          痛風        膀胱尿管逆流          高血圧        尿管閉塞            免疫異常        慢性腎不全        嚢胞性腎疾患   V.慢性腎盂腎炎:急性腎盂腎炎が遷延するもの(大部分は複雑性因子による)や 最初から慢性腎盂腎炎の型で出現するものとがある. CS 主な症状:腎疾患の最も不偏的な症候に蛋白尿と血尿がある.腎孟腎炎の場合,蛋 白尿は認められることもあるが,程度は軽度である.   ・単純性腎盂腎炎:発熱,腰背部痛,腎部の叩打痛,全身倦怠感,時に胃腸症状や 膀胱炎合併時には頻尿,排尿痛,残尿感などの膀胱炎症状も伴 う.   ・複雑性腎盂腎炎:(慢性)全身倦怠,腰痛,だるさなど不定愁訴 【治療薬物の分類と特徴】 MP NP <薬剤名>              <分類と特徴>    T.単純性急性腎盂腎炎    a.抗生物質    第一次選択薬剤    @アンピシリン   細胞壁合成阻害  β−ラクタム系    Aナリジクス酸   遺伝情報発現阻害 ピリドンカルボン酸系    Bセファロスポリン 細胞壁合成阻害  β−ラクタム系    CST合剤     葉酸合成阻害   サルファ剤    Dピロミド酸    遺伝情報発現阻害 ピリドンカルボン酸系    Eピペミド酸    遺伝情報発現阻害 ピリドンカルボン酸系    Fニューキノロン  遺伝情報発現阻害 ピリドンカルボン酸系    第二次選択薬剤    Gセファロスポリン(静注)    Hセフェム系    Iアミノグリコシド   b.輸液     腎より細菌を wash out する.感染の補助療法  U.複雑性腎盂腎炎   a.原因別療法     尿流の停滞,逆流,結石など局所因子や全身性因子の治療   b.抗生物質→単純性急性腎盂腎炎と同様(PP 複雑性かつ慢性の腎孟腎炎の原因菌 は多種類にわたり,かつ複数菌感染例が多いという特徴があるため, より抗菌スペクトラムの広い薬剤が使用されることが多い)  V.慢性腎盂腎炎     急性とは異なり,化学療法で完治せしめることは不可能.     間質病変に由来する糸球体機能障害をくいとめる.(PP 慢性腎盂腎炎では初 期に強力な化学療法を行ったのちに,再発防止を目的に経口剤を長期間使用す ることがある.) 【禁忌の薬(理由)】 CM  腎盂腎炎において,急性腎盂腎炎では腎機能障害を伴うことは少ないが,慢性腎 盂腎炎では腎機能障害を伴う事が多い.(腎盂腎炎での腎障害の程度は重篤なも のは少ないと考えられるが,腎炎,腎不全時には以下の薬物投与に注意) IR @排泄障害により,副作用発現の可能性のある薬剤   薬 剤 名           理 由             塩化アルクロニウム     (重症)腎が排泄の大部分を占める  沈降破傷風トキソイド    (重症)予期せぬ副作用の可能性  ペントバルビタールナトリウム  腎機能障害の増悪.代謝,排泄障害により, 副作用発現の危険性  フェニトイン        (重篤)薬物の体内停滞,蓄積  メホバルビタール        酒石酸エルゴタミン・無水カフェイン排泄障 害により,副作用発現の可能性  塩酸ジフェニドール     (重篤)排泄の低下により,蓄積が起こり副作用発現 の可能性  金チオリンゴ酸ナトリウム    金の主排泄経路は腎であり,蛋白尿等も報告 .排泄の抑制により副作用発現の可能性  臭化ヘキサメトニウム    (重篤)主排泄経路は腎であり,排泄の遅延による副 作用発現の可能性.(前立腺肥大,尿閉)腎 血流量,糸球体ろ過率が減少  インスリン         (重篤)インスリンの消失速度低下により,遷延性の ショック  エトレチナート         腎障害患者では,重篤になる可能性  メシル酸デフェロキサミン  (無尿,重篤)主排泄経路は腎である.鉄を除去する 作用を有するが,これが無意味となる.  グリベンクラミド      (重篤)本剤の蓄積により,低血糖が誘発  塩化カリウム        (乏尿,無尿,重篤) 尿中へのカリウム排泄が減少し高カリウム血 症  メトトレキセート        主排泄経路は腎であり,排泄の遅延により, 重篤な副作用発現.また,本剤腎障害の副作 用あり  硫酸ブレオマイシン     (重篤)排泄障害による蓄積  ヘパリンナトリウム     (重篤)排泄障害による蓄積  ワルファリンカリウム    (重篤)排泄障害による蓄積  アミノレバン        (重篤)アミノ酸の代謝物のある尿パンアミンG中排 泄が阻害  ハイカリック        (重篤)電解質の蓄積  ソリタT顆粒        (重篤)高カリウム血症の可能性  ヘスパンダー        (乏尿を伴う) 激しい腎障害を起こすことがある IR A薬剤の副作用により,症状を悪化させる可能性のあるもの   薬 剤 名           理 由             アルプロスタジル      (重症)血行不全による症状悪化  カンシル酸トリメタファン  (重症)乏尿  トリメタジオン       (重篤)腎障害の副作用  イブプロフェン       (重篤)腎におけるPG合成阻害作用が腎血流減少や 腎での水及びNa再吸収増加を引き起こし, 腎機能を低下させるおそれあり  スルピリン         (重篤)症状を悪化させるおそれ  ロベンザリット二ナトリウム (重篤)腎障害  ベレルガル(三共)       ベラフォリンの抗コリン作用により排尿困難 .また,排泄が抑制されることによる副作用 発現の可能性  D−ペニシラミン        本剤によりネフローゼ症候群や腎炎が発現の 可能性  スルフィンピラゾン     (腎臓結石症,重篤) 尿酸結石発現,プロベネシド症状悪化の可能 性  塩酸メトホルミン        乳酸アシドーシス発症の可能性  シスプラチン          腎機能障害  ピロミド酸         (重篤)腎障害.腎障害のある患者にに投与した場合 の本剤の作用が解明されていない  コンドロイチン硫酸・鉄コロイド (重篤)障害の増悪  イノシン          (尿路結石,腎障害) 副作用として尿路結石,急性腎不全  アミドトリゾ酸メグルミン  (重篤)副作用として腎機能低下  プロピリオドン  クエン酸マグネシウム      本剤の投与には多量の水分摂取を要するため ,症状を悪化させる 【合併症と対策】 MP (慢性腎盂腎炎)     症状   →その対策   @慢性腎不全→人工透析,腎移植   A高血圧  →降圧剤投与   B感染症  →重大なものは敗血症である.細菌性ショック,特にグラム陰性桿菌 よるものには注意   C腎性貧血 →(エリスロポエチンの投与:エスポー,エポジン)   Dカルシウム,リン代謝異常         →アルミゲル,アルファロール等の投与 【生活指導】 【薬物療法以外の特記すべき治療法】 MP T.単純性急性腎盂腎炎    全身の安静,保温.経口的に栄養,水分をとることが必要   U.複雑性腎盂腎炎    単純性急性腎盂腎炎に準ずる HI V.慢性腎盂腎炎    閉塞性の病変がある場合には直ちに外科的に処置すべきである. 【疾病に対する注意すべき臨床検査】 JL @尿中β−グルクロニダーゼ    急性および慢性活動性腎盂腎では高活性.但し,非活動性のものは正常値を示す AT ACLcr:低下の場合,腎排泄型薬物の排泄機能に注意    Scr正常値:♂ 0.8〜1.2mg /dl,♀ 0.6〜0.9mg /dl ## B尿中細菌,尿中白血球(膿尿),末梢白血球,CRP,赤沈値 【疾病に関する用語】 【メモ】 【参考文献】 PP 薬局 Vol.40,No.1, (1989) CM 薬物治療の実際,第二版,アサヒメディカル ## Doctor's Advice