■■■ 気管支喘息治療薬服薬指導 【疾患名】MP 気管支喘息(Asthma) 【有病率】MP 全人口の2〜4% 【好発層】 MP 男女比は小児(2:1),成人(1:1) MP 何歳でも発症 HI 約半数は10歳前,他の1/3は40歳前に発症 【予後】 MP 一般に良好 HI @50〜80%の予後は良好   A小児発作例において,7〜10年発作が持続する例は26〜78%,高度の発作が持 続する例は6〜19%   B成人の発症は20%が自然寛解,40%は加齢とともに軽減 【概要と成因】 HI @種々の刺激に対する気管,気管支の反応性亢進   A広汎な気道狭窄   B急性気管支喘息発作の刺激:アレルギー性,薬剤性,環境性,職業性,感染性, 運動誘発性,精神的 #1 遅延型反応は炎症細胞が活性化されることによっておこるので発症と回復に時間が かかる(通常4〜12時間). ## 即時型反応と遅延型反応は移行する病態であり,それぞれのステージに応じた治療 が目標となる.   悪化すれば慢性好酸球性上皮剥脱性気管支炎に移行する 【分類と症状】 HI 主な症状:気道狭窄に伴う発作性の呼吸困難,咳,喘鳴 MP 〈病型分類〉   a.Rackmann の分類:  外因性:30歳以前に発症,アレルゲン等の原因除去で改善    内因性:40歳前後に発症,慢性型となる b.Swinefordの分類:    アトピー(アレルギー性)型:若年発症,IgE抗体を持つ 感染型:中高年発症,副鼻腔を含む上気道での感染 混合型:アトピー型の慢性化,感染型の要素が加わる   c.アトピー型,非アトピー型: #2 @小児のアトピー型喘息はIgEを介して肥満細胞・好塩基球系から遊離されるヒ スタミンでIARが惹起される.   A成人の非アトピー型喘息は,IgG(>>IgE)を介して各種血液細胞から産 生・放出されるLT類などでLARが惹起される   〈重症度分類〉(日本アレルギー学会)     発作強度 小発作(A):苦しいが横になれる          中発作(B):苦しくて横になれない  大発作(C):チアノーゼを伴い,苦しくて動けない #2 急性発作時の治療の実際は下記番号のいずれか1つを症状に応じて選ぶ    軽症発作  @ボスミン 0.2〜0.3ml(皮下注)     |    A20%糖20ml+ネオフィリン6〜10ml     |     (5分以上かけてゆっくり静注)     |    Bベネトリン0.3ml     |     アレベール1.5ml     |     インタール1A     |    C〔@+A+B〕     |    DソリタT3 200ml     |     ネオフィリン 10ml     ↓     サクシゾン 100〜200mg    中等発作  E〔@+D+@:必要なら追加〕     ↓    F〔@+D+A(ゆっくり側管注)〕    重症発作  G〔@+D(サクシゾンを200〜300mgに(40〜60分)+@+ 5%糖 250ml,ネオフィリン 5〜7ml,サクシゾン 100〜200 mg(90〜120分)〕 【治療薬剤の分類と特徴】 #1 @即時型反応にはβ2-刺激薬,遅延型反応にはシクロオキシゲナーゼ阻害薬,ステ ロイドが有効,いずれもアレルギー反応開始を抑えている. #2 @抗アレルギー剤の使い方として,小児のアトピー型喘息には第1群,成人の非ア トピー型喘息には第2,第3群が第一選択剤となるが,重症喘息には充分な効果 が期待し難い #2 1.即時型反応→気管支拡張剤          @交感神経刺激薬(β2-刺激剤)          Aキサンチン誘導体   2.遅延型反応→B抗アレルギー剤(化学伝達物質遊離抑制薬)          Cステロイド剤:必要量を短期間に使用(器質的変化が気管支に起 こってしまうのを防ぐ)   3.慢性炎症の予防→発作の予防          @β2-刺激剤の Regular use(内服又は吸入)          Aキサンチン誘導体          B抗アレルギー剤(内服又は吸入)          Cステロイド剤の早期導入(内服又は吸入)           吸入ステロイド剤:ベクロメタゾン(ベタコイド,アルデシン)          D抗コリン剤:臭化イプラトロピウム(アトロベント) 気道粘膜 下に存在するムスカリン受容体を遮断し,迷走神経 興奮による気管支平滑筋の収縮と粘液分沁を抑制す る.吸入療法に使用される.交感神経薬やテオフィ リン系薬剤と作用部位が異なり相加作用が期待され る.精神的要因を有する喘息にも有効.副作用殆ど 無し. MP  薬物       軽症 中等症 重症 急性発作 慢性or予防   @交感神経薬(β2-刺激剤)    注射                   ◎    吸入     MDI 頓用     ◎   ○   ○   ○    ○     MDI regular use ◎   ◎   ○         ◎     ネブライザー   ○   ◎   ○   ◎    ○  経口剤       ○   ○   ○   ○    ○   Aキサンチン誘導体    裸錠        ○   △   △   ○     △   徐放剤       ○   ◎   ◎   ×     ◎  点滴静注                 ◎         B抗アレルギー剤   吸入        ◎   ◎   △  ×〜△    ○    経口剤       ○   ○   △         ○     Cステロイド剤    吸入剤       △   ◎   ○   ×    ◎   経口剤       ×   ○   ◎   ◎    ○    静注                   ◎         D抗コリン剤吸入   ○   ○  ○   ×    ○   E非特異療法    シオゾール     ×   ○   ◎         ○     ◎:良い適応,○:適応,△:場合によって適応,×:不適,無印は概念外 【禁忌の薬(理由)】 IR @イブプロフェン(解熱,鎮痛,消炎)    アスピリン喘息は気道局所のPGのアンバランスによって生じるためPG合成を 阻害する薬物は禁忌   Aβ-ブロッカー:特にβ2-ブロッカー    プロプラノロール(インデラル)    ピンドロール(カルビスケン)    チモロール(チモプトール)   B抗コリン剤(スコポラミン:気管支分泌を抑制)   Cバソプレッシン(脳下垂体ホルモン)    水が貯留し,症状が悪化   Dプロピオン酸ベクロメタゾン(眼科耳鼻科用薬,鎮咳去痰薬であるが重症の喘息 発作には無効) MP Eアスピリン喘息患者にはアスピリン,ピリン系酸性非ステロイド抗炎症剤は禁忌   F水溶性ハイドロコーチゾン中のパラベン大量でヒスタミン遊離作用あり.   Gヨード剤 【合併症と対策】 【生活指導】 MP @病因アレルゲンの回避 →house dust(ダニの死骸,排泄物),カビ,花粉et cを避ける   A気道刺激の回避 →禁煙の徹底,排気ガス,冷房   B食事について  →食物アレルゲン,食品添加物,アルコールに注意   C運動      →冬期の急いだ歩行,ジョギングが誘発(運動誘発性喘息     :EIA,EIAは運動前のβ2-刺激剤(MDI使用), インタールの吸入で予防できる),逆に水泳は望ましい   D喘息日誌    →発作の発現状況,時間,薬の服用などを記録 【薬物療法以外の特記すべき治療法】 【疾病に対する注意すべき臨床検査】 LM @肺拡散能力測定   A胸郭気量測定   BO2 一回法検査   C換気力学検査   DChemical mediator による気管支収縮誘発試験   E気管支拡張薬の効果測定 【疾病に関する用語】 MD @MDI  :Meter Dose Inhaler       Jet Nebulizer       Ultrasonic Nebulizer AEIA  :exercise induced asthma 運動誘発性喘息 BIAR  :immediate asthmatic response 即時型喘息反応   CLAR  :late asthmatic response 遅発型気管支反応   DSRS-A:slow reacting substance of anaphylaxis アナフィラキシー(遅効 )反応性物質 【メモ】 【参考文献】 #1 New Eng.J.Med. 321,1069(1989) #2 Medical Practice, 6,1855-(1989) ## Doctor's Advice