■■■ 慢性腎不全治療薬服薬指導 【疾患名】MP 慢性腎不全(MD Chronic renal failure) 【有病率】MP 記載なし 【好発層】MP 記載なし 【予後】 HI 慢性腎不全は不可逆性病変であり,初期には保存療法で管理されるが,最終的には ,血液透析,腹膜透析,死体腎移植,生体腎移植などが必要となってくる. 【概要と成因】CS HI ##   慢性腎不全の原因として,以下の疾患が主なものである.   (慢性糸球体腎炎,糖尿病性腎症,多発性嚢胞腎,腎硬化症,高血圧症,腎盂腎炎 ,その他の間質性腎炎)   原因疾患により,機能するネフロン数が激減し,体液恒常性の維持が不可能となっ た状態で尿毒素の蓄積,すなわち代謝物やホルモンなどの過剰蓄積を起こし,また 逆に,必要な物質の欠乏をきたす. そのため,末期腎不全患者では,ほとんどす べての臓器に障害が生 じて来る. 【分類と症状】 MP <病期分類>   1.腎予備力の低下      GFR は50ml/min 以上,SUN も正常域にあり,体液の恒常は維持されている .   2.腎機能不全期      GFR は30〜50ml/min で,SUN の軽度上昇と尿の濃縮力低下を認める. 夜間尿や軽度の貧血を伴い,脱水,手術,感染などで病状の悪化を起こしや すい .   3.腎不全期      GFR は10〜30ml/min で,尿の濃縮力障害,高窒素血症,貧血が著明となり ,アシドーシス,高リン血症,低カルシウム血症を認める.   4.尿毒症期      GFR は10ml/min 以下で,消化器,神経,循環器,血液系などに,いわゆる 尿毒症症状が出現する.   5.腎機能補充期      腎機能がほぼ廃絶し,自己の腎による生命維持は不能である.透析により尿 毒症症状は改善するが,免疫不全,骨代謝異常,貧血などの問題が残り,腎 移植を待つまでは透析そのものに由来する合併症も少なくない. CS 主な症状:【合併症と対策】参照 【治療薬物の分類と特徴】 MP  <薬剤名>           <作用機序と分類>    T.保存治療期   a.水・電解質異常の是正    @フロセミド ループ利尿剤    A重炭酸ナトリウム アシドーシスの改善    Bカリメート(商) 陽イオン交換樹脂    C水酸化アルミニウム      血清リン濃度の改善     沈降炭酸カルシウム    Dアルファカルシドール     カルシウム代謝の改善   b.高血圧・心機能    E塩酸プロプラノロール     β−遮断剤    Fカプトプリル         ACE阻害剤    Gジゴキシン          強心剤    H硝酸イソソルビド       亜硝酸剤(狭心症治療剤)    I塩酸ジルチアゼム       Ca拮抗剤   c.代謝異常    Jアロプリノール        尿酸生成抑制剤    KアミューG(商)       アミノ酸製剤    Lラクツロース         高アンモニア血症改善剤  U.腎機能廃絶期   d.抗不整脈治療剤    Mメキシレチン         膜安定化剤   e.貧血治療剤    Nメピチオスタン        蛋白同化ホルモン剤    Or−エリスロポエチン     赤血球への分化と増殖の促進 【禁忌の薬(理由)】 IR 腎不全に限定して記載(腎障害の禁忌薬剤は腎盂腎炎の項参照)   <薬剤名>           <理由>   ジクロルフェナミド (糸球体濾過量が少ないので投与しても無効)   アセタゾラミド   (糸球体濾過速度が減少したままでは無効.また,本剤の蓄 積が起こる)   カンレノ酸カリウム (本剤が無効.また本剤の投与により尿素窒素が上昇して, 高窒素血症が悪化)   トリクロルメチアジド(本剤が無効.また体内蓄積による副作用の増強)   リン酸ピペラジン  (排泄障害による蓄積により副作用発現の危険険性が高まる )   塩化カルシウム(注射)(塩素イオンによるアシドーシスを起こす) 【合併症と対策】   対策は,合併症が全身の異常を伴うので該当疾患の治療薬服薬指導参照 MP T.保存治療期    尿毒症症状として    神経系(中枢・末梢神経,筋肉)    循環系(高血圧症,うっ血性心不全,心外膜炎)    消化器系(嘔吐,食欲不振,吐・下血,膵炎,口内炎)    呼吸器系(uremic lung*1) ,感染症)    血液系(貧血,出血傾向) ## 内分泌系,筋,骨格系や免疫能,皮膚所見,水・電解質,糖・脂質代謝など,ほぼ 全身の異常 HI U.腎機能廃絶期  〈血液透析〉   根底にある基礎疾患ないし透析療法によって改善しない尿毒症状態低血圧(透析療 法に起因)   痴呆症,骨軟化症(アルミニウムなどに起因)   心筋梗塞・脳血管障害(尿毒症患者の一般的危険因子由来)  〈腹膜透析〉   カテ−テル出口部の感染,腹膜炎,中等度のタンパク質喪失,高トリグリセリド血 症,高コレステロ−ル血症,肥満,鼠径ヘルニア,腹部ヘルニア 【生活指導】   栄養や水・電解質の異常を是正する.下記【薬物療法以外の特記すべき治療法】の 項参照 【薬物療法以外の特記すべき治療法】   T.保存治療期 MP  安静及び食事療法    肉体労働は避け,必要ならば入院安静を指示する.    窒素代謝産物を抑え,水・電解質の異常を予防するため,蛋白制限,食塩制限, カリウム制限及び高カロリ−の摂取が必要である.   U.腎機能廃絶期 MP @食事・水分の管理 HI A血液透析:大部分の患者は,1週間に10〜15時間の透析が必要. ##  利点は適応が広く,原則として全ての腎不全に治療を行うことができる.   B腹膜透析:カテ−テルを腹腔内に挿入し,歩行移動が可能.1日3〜4回腹腔内 を空にし,透析液を交換する.(CAPD) ##  利点は,ヘパリンを使用しなくてよいこと,食事療法の緩和,自由が束縛されな い,内シャント手術が不用なことなどがある.   C腎移植:レシピエント(受容者)と組織適合性が良好なドナー(提供者)が得ら れた場合に適応される.透析治療に要する時間的制約がなくなり,食事管理も軽 くなる.移植を受ける患者は,##生命の危険のある腎外性の合併症(癌,重症の 冠動脈疾患,脳血管疾患等)があってはならない. 【疾病に対する注意すべき臨床検査】 ##1 尿 :尿量(↑夜間尿,末期↓),蛋白(+),赤血球数(+),白血球数(+) ,円柱(+))   血液:赤血球数(↓,正球性正色素性),BUN (↑),クレアチニン(↑),尿酸 (↑),Ca(↓),K(↑),PO4 (↑),代謝性アシド−シス(##)   腎機能:濃縮力(↓),希釈力(末期↓)   循環:血圧(↑) 【疾病に関する用語】 MP @GFR(糸球体濾過値)  ASUN(血清尿素窒素) HI BIPD(間欠的腹膜透析)   CCAPD(継続的移動式腹膜透析)   DCCPD(循環式腹膜透析) MD *1) uremic lung 尿毒症性肺炎 【メモ】 【参考文献】 ## Doctor's Advice ##1 臨床検査法提要,金井 泉,金井正光,金原出版