■■■ 結核治療薬服薬指導 【疾患名】MP 結核(CP Tuberculosis) 【有病率】HI 人口10万あたり9.4人,貧困な国では10万人あたり400人 【好発層】MP 発展途上国では若い成人,先進国では老人  【予後】 MP 良好,1986年死亡率 3.4/10万人,年間死亡率 0.6% HI 良好,発展途上国では飢餓や他の併発疾患によって再発.しかし通常の疾患部位は 肺で他の臓器も侵される事があり,有効な治療をしないと慢性に消耗する経過をと り多くの症例では死に至る. 【概要と成因】 MP 〈概要〉    結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の飛沫感染によって惹起される慢性伝染 病 HI  Mycobacterium tuberculosisによって起こされる感染組織における慢性に経過す る感染症.肉芽腫形成と多彩な細胞媒介過敏症が特徴的   〈成因(結核の免疫学的機序)〉 HI  @結核菌に未感染の肺や他の組織に菌が進入すると急性の炎症反応が起こる   Aその後2〜8週間,結核菌はマクロファージの中で増殖し宿主は細胞媒介過敏症 を示す    Bリンパ球が感染部位に集合して走化性因子,インターロイキン,リンフォカイ ンを産生する.これに反応して単球が集合してきてマクロファージへと変わり 肉芽腫の中に組み込まれる 【分類と症状】 HI 〈主な症状〉    @最小の病変(初期症状) 空洞がなく第二胸骨軟膏結合部と第四胸椎棘突起, 第五胸椎の椎体上の一つの肺の全域を越えていない もの    A中等度   一つの肺に限られているもので空洞の直径が4cmを 越えていないもの    B重症  中等度以上に病巣が広がっているもの   〈分類と症状〉   −初期結核 @通常無症状 | A非特異的な肺実質炎が下部或いは中部の肺に生じる | B肺門リンパ節の膨張(普通に起こる) −再燃結核 @慢性に経過する消耗性の疾患 A体重減少や微熱,寝汗(呼吸症状よりも全身症状が         顕著) ## T.肺結核 @好発部位は上葉の肺尖後区と上一下葉区(肺尖区,後上葉区)     A広汎な病変(極く僅かの浸潤〜大規模な空洞形成と衰弱を招く全身 或いは呼吸器症状)     B肺結核の病変が進行→乾酪化の発現と中心部の壊死    →肺機能の異常化(繊維化,体積減少,肺上部 への縮小)     C呼吸器症状(咳,痰,喀血)   U.肺以外の部位における結核   @滲出性胸膜炎 胸膜腔に結核菌が播種された場合.胸腔に浸出液が生じ痛 みを伴う    A結核性心膜炎と結核性腹膜炎 リンパ節或いは泌尿生殖器における感染が病巣.発熱,心 膜痛,浸出液     B咽頭結核 肺病変が極度に進行した場合.菌の喀出に伴う粘膜表面へ の播種.表在性の咽頭炎〜潰瘍,肉芽腫.嗄声が主要症状 ## C気管支内結核(気管支結核)    気管支粘膜への菌の播種.咳や軽度の喀血   D結核性リンパ節炎 腺病(慢性の結核性リンパ節炎).好発部は下顎骨直下の 頚の上にあるリンパ節   E骨結核 Pott病(脊椎),股関節,膝関節   F泌尿生殖器結核 好発部は男女性生殖器のいかなる部位   G髄膜の結核   感染は脳底部に生じる傾向.髄膜症状や脳神経症状    H眼の結核  感染は目全体.脈絡網膜炎,ブドウ膜炎が好発   I胃腸管系の結核 回腸炎,肝の結核   J副腎の結核   長期間に渡る肺結核に付随.好発部位は皮質   K皮膚の結核  希な症状   L粟粒結核   結核菌の広範囲の血行性播種により感染. 発熱,希に貧血,脾腫を伴う   M珪肺結核   珪肺症やその他の塵肺症の患者の結核症状 【治療薬物の分類と特徴】 NP 〈薬剤名〉  〈特 徴〉   @イソニアジド(INH) 最も抗菌力が強く併用療法の中心的化学療法薬   Aリファンピシン(RFP)INHに次いで強力,殺菌的   Bストレプトマイシン(SM)抗結核薬第一号   Cエタンブトール(EB) 4種の光学異性体,効果が強力なd体が用いられる   Dパラアミノサリチル酸  他薬との併用で他の耐性発現を遅らせ(PAS)る. INH,SM,RFPと併用 【禁忌の薬(理由)】 IR ステロイド剤   @プロピオン酸ベクロメタゾン   Aリン酸ベタメタゾン(リンデロン)   Bデキサメタゾン(デカドロン)   Cヒドロコルチゾン(コートリル)   理由→本剤の抗体産出抑制,免疫機能低下作用,菌交代現象による症状悪化) 【合併症と対策】 MP 〈合併症の対策〉   @肝障害→1)エチオナミド(TH),PZAは避ける   2)GOT,GPT 100mg/dl 以下                 →RFP,INHの使用の継続   3)GOT,GPT 100mg/dl 以上                 →RFP,INHを一時休薬,正常                 値に回復後,減量して1剤ずつ再開し漸増    4)高度の肝障害でINH,RFPをやむ得ず使用する場合 →INH 200mg,RFP 300mg投与   A腎障害→1)KMは出来るだけ避ける    2)腎障害の程度(Ccrや透析の有無)により投与量を設定   B糖尿病→コントロールがされていれば強力な化学療法   C塵肺症→塵肺が進行し,塊状を伴う場合は治療期間の延長   D妊婦→1)軽症 →INH+EB    中等症以上→INH+EB+RFP    2)TH(奇形児出産),SM(聴力低下児出産)は避ける  3)授乳婦の母乳中の抗結核薬の含量は少量なので問題なし   E老人→1)マイシン類(聴力障害)の代わりにEB   2)呼吸器疾患,心疾患(糖尿病,肝疾患,高血圧,結核以外)対策   〈結核起因の合併症の対策〉   @胸膜炎 →通常の化学療法.胸水が大量の時は浸出反応がおさまった時点でチェ ストチューブで排液 ## A気管支結核 →通常の化学療法.治癒後瘢痕狭窄し切除(切除が必要な場合もあ る)   B気胸  →胸部X線で診断し安静(気胸が胸部X線上で30%以下)人工的に 再膨張させる(30%以上),縫縮術(再膨張不能例)   C膿胸  →通常の化学療法(やや長め),気管支瘻の有無で外科的処置,或 いはドレーンによる洗浄   Dその他の肺外結核   E喀血   Fその他(電解質異常,抗利尿ホルモン分泌異常,播種性血管内凝固) 【生活指導】 MP 薬の量,服用期間の厳守 HI 結核菌は紫外線感受性,日光と換気の重要性 【薬物療法以外の特記すべき治療法】 MP 外科的療法→肺切除術 【疾病に対する注意すべき臨床検査】 MP GOT,GPT(肝機能障害),血算(アレルギー反応),平衡障害,聴力検査, 視野検査(視神経障害),胃腸障害 LM 皮膚テスト(ツベルクリン反応),細胞依存性応答の試験管内テスト(リンパ球幼 若テスト:PPD,白血球遊走阻止テスト:LTF,マクロファージ遊走阻止テス ト),結核菌同定テスト(色素産出(−),ナイアシンテスト(+)) 【疾病に関する用語】MP MD   @結核菌:Mycobacterium tuberculosis,抗酸菌とも言う   A初感染発病:進入結核菌が多かった場合や生体内の防御力低下時の急激な発病   B既感染発病:感染後時を経た発病   C空洞:肺や腎臓などの臓器の壊死後の空間   D気胸:胸膜腔に気体が貯留した状態   E膿胸:化膿性胸膜炎   F乾酪化:肺病変が進行し,液化した壊死物質がチーズのようになる 【メモ】 【参考文献】 ## Doctor's Advice