■■■ 高血圧症治療薬服薬指導 【疾病名】MP 高血圧症(CP Hypertension) 【有病率】MP 30才以上20.0%(男23.7%,女17.1%) 【好発層】MP 50才以上 【予後】HI 未治療では生存率は低下する 【概要と成因】  〈概要〉 MP @高血圧の定義(WHO) 正常血圧:収縮期血圧 140mmHg 以下でかつ,拡張期血圧 90mmHg以下 高血圧: 収縮期血圧 160mmHgまたは拡張期血圧 95mmHg以上 境界域: 上記のいずれでもない者 A18才以上の高血圧の分類(JNC,1988) 拡張期血圧(mmHg) <85 正常血圧 85〜89 高値正常血圧 90〜104 軽症高血圧 105〜114 中等症高血圧 ≧115 重症高血圧 収縮期血圧(mmHg)(拡張期血圧< 90mmHgの場合) <140 正常血圧 140〜159 境界域純型収縮期高血圧 ≧160 純型収縮期高血圧  〈成因〉 HI T.本態性高血圧(高血圧患者の90%) →遺伝,環境(食塩感受性,肥満,職業,人口密度) @低レニン性本態性高血圧(本態性高血圧症患者の20%) A高レニン性本態性高血圧(本態性高血圧患者の15%,レニン値↑) [予後を増悪する因子]→年齢,人種,性,喫煙,血清コレステロール,糖不耐性 ,体重,レニン活性 U.二次性高血圧 @腎性高血圧(腎血管性高血圧及び腎実質性高血圧) A内分泌性高血圧(分類と症状の項参照) 1.副腎性高血圧 2.末端肥大症 3.高Ca血症 ## 4.経口避妊薬,グリチルリチン等 B大動脈縮窄,大動脈炎症候群(収縮そのものか或いは腎循環の変化による腎動 脈性高血圧) 【分類と症状】 HI 〈分類〉  T.脈圧の幅広い収縮期性高血圧    @大動脈コンプライアンスの低下(動脈硬化)  A一回拍出量増加   1.大動脈弁閉鎖不全    2.甲状腺中毒症    3.過動性心症候群(Hyper-Kinetic Heart Syndrome)   4.発熱   5.動静脈瘻   6.動脈管開存   U.収縮期性および拡張期性高血圧(末梢血管抵抗増大)  @腎性高血圧  1.慢性腎盂腎炎  2.急性および慢性糸球体腎炎  3.多発性嚢腫性腎炎  4.腎血管狭窄または腎梗塞  5.多くの他の重症腎疾患(動脈性腎硬化症,糖尿病性腎症)  6.レニン産出腫瘍  A内分泌性高血圧  1.経口避妊薬(エストロゲン含有経口避妊薬はレニン−アンジオテンシン−ア ルドステロン系を活性化する)  2.副腎皮質機能亢進  a.Cushing病あるいはCushing症候群  b.原発性アルドステロン症(原発性アルドステロン症ではアルドステロンに よるNa貯留と高血圧に高い相関性)  c.先天性ないし遺伝性副腎性器症候群(17α-Hydroxylase及び17β-Hydroxyl ase欠損)  3.褐色細胞腫  4.粘液水腫  5.先端肥大症(本症が高血圧,冠動脈硬化症,心肥大症と合併)   B神経性  1.精神性  2.“間脳症候群”  3.家族性自律神経機能異常(Riley-Day)  4.急性灰白髄炎(ポリオ)(延髄性)  5.多発性神経炎(急性ポルフィリア,鉛中毒)  6.脳内圧亢進(急性)  7.脊髄切断  Cその他  1.大動脈縮窄  2.血管内容量増加  3.結節性動脈周囲炎  4.高Ca血症(副甲状腺機能亢進症患者の1/3は高血圧を合併. Ca値の上昇に直接血管収縮効果(?),詳細不明)  D原因不明  1.本態性高血圧(高血圧患者の90%)  2.妊娠中毒症  3.急性間歇性ポリフィリア HI 〈主な症状〉   T.心臓に対する効果 初期  求心性左心室肥大(壁厚の増大) |  心不全 |  狭心症 |  心筋梗塞,うっ血性心不全 末期   U.神経系に対する効果 @網膜変化(細動脈の限局性痙攣,進行性びまん性狭窄及び出血,浸潤,乳頭浮 腫の出現),暗点,ぼやけ,失明 A中枢神経の機能障害(めまい,難聴,もうろう,失神,脳梗塞,脳出血,高血 圧性脳症)   V.腎に対する効果 @腎血管障害(遠心性及び求心性細動脈及び糸球体血管硬化) A尿細管機能障害 B糸球体障害(蛋白尿,顕微鏡的血尿) C腎不全 【治療薬剤の分類と特徴】 −−−−−−−−−−−−−−−−− MP | 再検査さらに/または再評価 ||   @利尿薬 | または第3次or4次薬の追加 ||  Aβ遮断薬 −−−−−−−−−−−−−−−−−|   BCa拮抗薬 | 他の種類の第3次薬の追加 |降|  CACE阻害薬 | または第2次薬の変更 |圧|   Dα1遮断薬 −−−−−−−−−−−−−−−−−薬|  E中枢性α2刺激薬 | 他の種類の第2次薬を追加 |減の|   Fα・β遮断薬 |最初の降圧薬の増加または変更|量段|  Gラウオルフィア剤 −−−−−−−−−−−−−−−−−を階|   H血管拡張薬 | 利尿薬orβ-遮断薬or | 考的| | Ca拮抗薬orACE阻害薬 |す慮 | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−る | |食塩制限 体重減少 | | |アルコール 非薬物療法 他の危険因子|非薬物療| |摂取制限 の除去 |法の継続| −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 【禁忌の薬(理由)】 IR @塩酸ケタミン →(一過性の血圧上昇,脳圧亢進作用,不整脈増強作用) Aイブプロフェン→(腎血流の減少,水・電解質排泄障害による体液貯留) Bエルゴタミン無水カフェイン,ベレルガル →(エルゴタミンの末梢血管収縮,長期・大量投与による毛細血 管内皮細胞の障害による血流停止,血栓形成,壊死) C塩酸リドカイン→(心血管系疾患の患者では血圧上昇,不整脈) Dプロピオン酸ベクロメタゾン,ヒドロコルチゾン→(鉱質コルチコイド様作用に よる血圧上昇) E塩酸エチレフリン(経口),スプリフェン塩酸塩ヌクレオシド,塩酸ドキサプラ ム      →(昇圧作用) Fヘパリンナトリウム,ワルファリンカリウム →(抗凝血薬の出血による血管や内臓の障害) 【合併症とその対策】 MP @高血圧性心疾患  急性期 1.高血圧性緊急症(hypertensive emergencies) (高血圧性脳症,頭蓋内出血,肺水腫を伴う急性左心不全等) →速やかに降圧 2.高血圧性急迫症(hypertensive urgencies) (悪性ないし加速型高血圧症,手術前後の高血圧症) →24時間内に降圧  慢性期 降圧利尿薬,ACE阻害薬.更に血管拡張薬(Ca拮抗薬,α1遮断薬) A虚血性心疾患  労作性狭心症 →β遮断薬(ISAのないもの,β1選択性のあるもの,最近で はα1遮断作用も併せもつ薬剤)  冠攣縮性狭心症→Ca拮抗薬が有効 B脳血管障害  急性期→降圧療法は原則として用いない 脳出血で著明な高血圧(200mmHg以上)→降圧療法  慢性期→Ca拮抗薬を使用.レセルピン類はなるべく使用を避ける ## C腎障害→利尿薬(クレアチン値が2.5mg/dl以上はループ利尿剤を使用. スピロノラクトンは禁忌) 更にCa拮抗薬使用 D糖尿病→サイアザイド,ループ利尿薬(血糖値の測定を併用),β-遮断薬(イ ンスリン使用者には注意),Ca拮抗薬,ACE阻害薬 E閉塞性肺疾患 F通風 G刺激伝達障害 |心 狭 脳障 腎 糖 間跛 閉肺 痛 刺導 |不 心 血害 障 尿 歇行 塞疾 風 激障 |全 症 管 害 病 性 性患 伝害 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 利尿剤 | サイアザイド|○ ○ ○ △ △ ○ ○ × ○ ループ |○ ○ △ ○ △ ○ ○ × ○ K保持性 |○ ○ ○ × △ ○ ○ ○ △ β遮断剤 |× ○ △ △ △ × × ○ × α1遮断剤 |○ △ △ ○ △ ○ △ ○ ○ レセルピン類 |△ △ × ○ △ ○ ○ ○ △ α2刺激剤 |△ △ △ ○ △ ○ ○ ○ △ ヒドララジン類|△ × ○ ○ ○ ○ △ ○ ○ Ca拮抗剤 |△ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ACE阻害剤 |○ ○ ○ △ ○ ○ △ ○ ○ ○:使用, △:慎重に使用, ×:禁忌 【生活指導】 MP @食事療法(Na摂取制限,肥満解消(減量療法),アルコール制限) A運動療法 B他の冠危険因子の除去(禁煙,高脂血症の是正,糖尿病のコントロール,高尿酸 血症の是正) 【薬物療法以外の特記すべき治療法】 ## 軽症,中等症高血圧では非薬物療法を併用 【疾病に対する注意すべき臨床検査】 HI T.基礎的検査 @常に施行  1.尿(蛋白,血液,糖)  2.ヘマトクリット  3.血清カリウム  4.血清クレアチン及びBUN  5.心電図 A常に施行(準)  1.尿沈  2.白血球数  3.血清ブドウ糖値,コレステロール値,中性脂肪  4.血清Ca,P,尿酸  5.胸部X線  U.二次性高血圧スクリーニングの為の特殊検査 @腎血管性:急速連続経動脈性腎盂造影法          digital subtraction angiogram(DSA) A褐色細胞腫:24時間尿中クレアチン,メタネフリン,カテコラミンあるいは血 漿カテコラミン B Cushing症候群:デキサメタゾン抑制試験,24時間尿中コルチゾール値 【疾病に関する用語】MP MD   @血漿レニン活性:循環血漿量の減少,食塩制限,立位,ストレス等,種々の因子 で増加,原発性アルドステロン症,その他体液量の増加する病態で減少する   Asystolic blood pressure:収縮期血圧   Bdiastolic blood pressure:拡張期血圧   Cポルフィリア(porphyria) :肝性ポルフィリア症.ヘムポルフィリン体への中 間代謝物の蓄積   D心臓の陰性変時作用:交感神経抑制もしくは副交感神経興奮により放出カテコラ ミンが減少する.収縮の増大を抑え心拍出量が減少. 逆の作用を起こすとき正の変時作用という   E心臓の前負荷:拡張期の心臓が引き延ばされている状態   F心臓の後負荷:血液駆出に対する抵抗   Gポリオ(急性灰白髄炎):polio myelitis virusT,U,V型の感染弛緩性四肢 麻痺   H大動脈コンプライアンス:弾性の逆数.通常物体に加わる力と,それによって起 こる変形の程度によって測定   I間脳症候群:間脳障害による自律機能障害(体重変化,水代謝異常等)と精神障 害(意識の変化,幻覚等)   J Cushing病:コルチゾール過剰による疾患(中心性肥満,満月様顔貌等)   K17α-Hydroxylase:副腎皮質ホルモンの生合成に関与.    欠損→高血圧症,高カリウム血症   L家族性自律神経機能障害(Riley-Day):常染色体遺伝性疾患.          乳児期に燕下障害等が起き,大部分は 成人までに死亡   MISA(intrinsic sympathomimetic activity):内因性交感神経刺激作用   NMSA(membrane stabilizing activity):膜安定作用 【メモ】 【参考文献】 ## Doctor's Advice